『HOMELAND/ホームランド』
- この『HOMELAND/ホームランド』には、どう出逢ったのですか。
- 僕はとにかく生活していくうえで、いつでも1本は追っている海外ドラマを抱えるってのが基本なんです。まぁ、心の拠り所っていうか、観るべき物がある安心感っていうか…。で、たまたま、気に入ってるドラマが終わったり、次のエピソード待ちだったりと節目を迎えた時期に、海外ドラマ仲間の小木さん(おぎやはぎの小木博明氏)から勧められたのが、『HOMELAND/ホームランド』だったんですよね。
- どういうドラマでしょうか。
- かなり渋く緻密なタイプですね。ゾンビになっちゃうとか、理由もなくドームに囲まれちゃうとか、そういう奇をてらった大前提がない。CIAが舞台の、いわゆるテロものです。テロものといえば『24 -TWENTY FOUR-』がありますが、『24 -TWENTY FOUR-』がエンターテインメントとすれば、『HOMELAND/ホームランド』はリアリティ重視。つくりが細かくて、リアルなんです。まず、脚本がしっかりしてますよね。CIAとか超リアルだし…。って、僕が本当のCIAを知っているわけじゃないんですけど、きっとこんな感じなんだろうなっていう…。みんなが実際のニュースで知っていることが、たぶんあれだって想像できるように生々しく組み込まれていたり…。
- 思わず、引き込まれる、と。
- ネタバレしちゃうので、詳しいことは言えません。でも、ひとつ言えるのは、一方向じゃないってこと。テロ側というのは敵じゃないですか。でも、テロリストなんじゃないかと疑われる人がいて、いや、そうじゃない、いや、やっぱりそうだ、みたいな二転三転していくなかで、テロリスト側にも感情移入してしまう…。敵のほうにもドラマがあるっていうつくりは、これまで観たことがなかったですよね。それから、宗教問題にも触れていて、宗教批判のシーンもあるんですけど、そこにも宗教批判している人を批判するような視点もある。日本だったらタブー視されるようなことにも切り込んでいて、まったく、なんなんだ、アメリカのエンターテインメントってやつは(笑)という感じ。
- 海外ドラマならではの魅力ですね。
- うん、まず、終わり方が上手いですよね。次を必ず観たくなっちゃいます。それから、やっぱりお金を掛けてるから、隅々まで、よくできています。なんかね、ヒロインのキャリーが、風呂に入る時間もなくて、部屋に戻ってウェットティッシュで身体を拭いてすぐ次の会議に出かけるみたいなシーンがあるんです。別に僕がそのシーンを好きってわけじゃないんですよ。でも、そういうほんの数秒が妙によくできてる。日常のちょっとしたシーンのリアルさの重ね方が、すごいですよね。
- テロとの対峙がストーリーの軸といえば『24-TWENTY FOUR-』でやり尽くされた感はありますが。
- それが違うんだなってことが、海外ドラマに教えてもらったことかもしれないです。僕は仕事柄、ネタ作ったり、本を書いたりするわけですが、そうすると、まだ誰もやっていないもの、いじられてないものを求めて、未開の地へ行きたくなるんです、そうじゃないとかぶっちゃうと思ってる。でも、散々やりつくされた設定にも、まだこんなにやりようがあるんだな、と教えられるんです。
- 同じテロがテーマでも、まったく違うドラマだと。
- そう。たぶん制作前の企画会議でね、テロをやりたいって言うじゃないですか。そうするときっと、「いやいや、もういいでしょ」とか「あの『24-TWENTY FOUR-』を超えらんないよ、比較されちゃうよ」とか言われて。もっとリアリティ路線でとか言うと「いやいや地味でしょ、それじゃ」とか、めちゃくちゃ否定されると思うんですよ。でも、演じる人がいて、いろいろな要素が絡んで、まったく違うものができるんだな、と。例えばもし僕が、ファミレスの店長で新メニューを考えなくちゃいけないとき、バイトの子が「ハンバーグ」って言ったら、ハンバーグなんてやり尽されてると言いたくなるのをぐっと抑えて、新しいハンバーグの可能性を考えられる男でいたいと思いますよ。
- 海外ドラマの魅力は深いんですね。海外ドラマの魅力は深いんですね。
- 実は僕の中にルールがあって。こうして紹介したりするとき、必ず出所を明らかにするということ。今回は、小木さんがソースです。面白いものを見つけるということ自体も、海外ドラマを好きになる最初の行程ですから、そこは明確にしておきたいんです。
- 海外ドラマ仲間の仁義ですね。
- 僕だけかもしれませんけどね(笑)。本当は、いちばんの理想は、自分でこいつは面白いってものを見つけることなんです。僕の海外ドラマ好きのきっかけは『24-TWENTY FOUR-』。当時はレンタルビデオ屋で借りてハマったんですけど、これは自分で見つけたという自負がある。海外ドラマって、付き合いが長くなるじゃないですか。続けて5、6時間観ちゃったり、下手したらエピソード待ちで2、3年付き合うことになったり。自分で見つけると、愛も深いです。だからこそ、まだ話題になってないものまで漁場を広げて、また大物を釣り上げたいと思っちゃうんですよ。

- HOMELAND/ホームランド
- ドラマ | FOX
- 米TV界の2大アワード、エミー賞&ゴールデングローブ賞作品賞及び主演女優賞をダブル受賞、本年度No.1の話題作! 『24-TWENTY FOUR-』の製作陣が再び全米を熱狂させた超一級サスペンス。テロを未然に防ぐべく闘うCIAと“戦争の英雄”の息詰る攻防戦をスリリングに描いた『HOMELAND/ホームランド』は、アメリカの現代社会が抱える闇に鋭く切り込み、スピーディな展開でぐいぐいと観る者を引き込んでいく。
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※各作品のHuluでの配信には期限がございます。

- 劇団ひとり(げきだんひとり)
- 生年月日:1977年2月2日 出身地:千葉県 血液型:A型 趣味:映画鑑賞
- お笑いタレント・俳優・作家・映画監督・作詞家
1993年デビュー。2000年「劇団ひとり」としてピン芸人に。2006年「陰日向に咲く」を上梓し小説家としてデビュー。2014年自著「青天の霹靂」の映画化に際しては映画監督を務めるなど、お笑い以外にもマルチな才能を発揮する。 - お笑いタレント・俳優・作家・映画監督・作詞家