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紀里谷和明さんの 語りたくなる1本は… Powered by 映画ナタリー

『SHAME -シェイム-』

監督と俳優の間にものすごい信頼関係がないとできない
今回の特集のテーマが「語りたくなる1本がある。」ということで。
映画についてじっくりと語りたくなるようなシチュエーションがありましたら教えてください。
僕ね、映画っていつも1人で観に行くんですよ。デートとかでは絶対行かない。
どうしてですか?
だって時間がもったいない。2人で観ていると2時間会話できないしね。ほかのことをやっていたほうがよくない?って思うんですよね(笑)。
女の子と行くと映画に集中できないからというわけではなく(笑)。
そう。女の子と映画の話なんかほとんどしないし、したって僕は聞いているだけだしなあ。「ああそう~、そっかあ、いいよねえ」って。
優しい(笑)。そこでご自身の意見を口にすることはないんですか?
ないですね……。これまでの人生で同じ映画とかほとんど観てないし。で、誰と語るんだろう。例えば岩井俊二さんとか蜷川実花さんとか、ほかの監督と話していても映画の話にならないもんね。どうしても自分の作品の話とか、苦労話になっちゃう。客観的な目線になれないから、作り方の話になっちゃうし……。業界の奴らと飲みながら映画の話とかしていても、喧嘩になっちゃったりするしね。「それは違うと思うよ!」みたいな(笑)。
「SHAME -シェイム-」はどのような理由で選ばれたんでしょうか?
スティーヴ・マックィーンね。この1つ前の「HUNGER/ハンガー」の頃から「すごいなあこの人」と思いながら観ていて。まあ、マイケル・ファスベンダーの存在感もすごいんだけど……。これは一種完璧な映画ですよね、1つの完成形だなって思う。撮影監督のショーン・ボビットも素晴らしいですよね。とにかくすべてにおいて、まったくムダがない。
削ぎ落とされていると?
うん。ついこの間も観て「この作品の構造ってどうなってんの?」って思ってずっと研究していたんですよ。1回だけ観るとよく分からないんだけど、2回目、3回目と繰り返し観ると「なるほど、こうなってんだ!」ってのがすごく理解できる。それで、観るたびについ撮り方を考えちゃいますね。「事前に打ち合わせしてんのかな?」とか「カメラリハーサルはさすがにやるよね」とか。そういうことを考えてしまう。あまりにも色々なものが削ぎ落とされていて、勇気があるなあ!と観るたびに思いますね。それで押し切っちゃうっていうのがすごいと思う。もしくは気にしてないのか。
どちらなんでしょうね(笑)。
マックィーンって、現代最高峰の監督なんじゃないですかね。「それでも夜は明ける」はまだ観てないんだけど、それは僕の中で観なきゃいけない作品リストに入っているんですよ。ずーっとそうやってどんどん増えていって溜まっていくばっかり。そうだ、ブラッド・ピットが「SHAME -シェイム-」をすごく褒めていて。僕は彼が「それでも夜は明ける」の監督をマックィーンに依頼したこととか、あの作品がアカデミー賞を獲った理由なんかもよく理解できるんです。もともとマックィーンはファインアートの世界の人だから、これはまあ言うなれば芸術作品ですよね。今の時代のテクノロジーやカメラ技術を使った作品の中の、1つの到達点だと僕は思う。技術が進化して何もかもバッキバキに見えてしまうような中で、じゃあ何をするのっていう部分での、1つのものすごく素晴らしい提案が「SHAME -シェイム-」の中にあるという感じですよね。
俳優の演技はいかがでしたか?
それはもう、ね。ファスベンダーとキャリー・マリガンでしょ? 言うことない! 「どこまでリハーサルしてんのかな」とか「どこまで脚本に沿ってんのかな」とか、観客が思わず考えちゃうようなお芝居っていうのは、やっぱりすごくステキだなと思います。まあ監督と俳優の間にものすごい信頼関係がないとできないでしょうね。僕の新作「ラスト・ナイツ」を撮影したときもそうで、例えば、モーガン・フリーマン氏やアン・ソンギ氏のような、とてつもなくすごい俳優さんでも、やっぱり監督を信頼してくれているし、そうじゃないとできないと思うんです。
映画ナタリーでは、その他マイリストの作品についての紀里谷和明インタビューを掲載中。
SHAME -シェイム-
SHAME -シェイム-
映画 | ギャガ株式会社
『それでも夜は明ける』の監督、スティーヴ・マックイーンが描くセックス依存症の男の苦悩と孤独を鮮烈に描き出した衝撃の問題作。NYでエリートサラリーマンとして生活するセックス依存症の兄の部屋に転がり込んだ、恋愛依存症にしてリストカット癖のある妹。全く相容れない二人は、共に生活を送ることで衝突し、事態は悪い方向へと転がり始める。そんな折、男のもとに衝撃的な連絡が入る。彼はなぜ、そんなにもセックスに傾倒していくのか? そこに浮かび上がるのは…。
紀里谷和明(きりやかずあき)
紀里谷和明(きりやかずあき)
1968年4月20日生まれ、熊本県出身。
1994年より写真家として活動をスタートさせ、SMAP、サザンオールスターズなどのCDジャケットやMVの撮影を手がける。2004年に「CASSHERN」で長編監督デビュー。2009年発表の「GOEMON」以来6年ぶりとなる最新作「ラスト・ナイツ」が11月14日に公開される。
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